広島の経営者がおすすめするグルメやナイトライフのお店を紹介。
「大人の社交場」をコンセプトに、飲食店だけでなく、会員制のヘアサロンやオーダースーツのテーラーを併設する。磯見裕介支配人は、
「1920年代の禁酒法時代にアメリカに実在したもぐり酒場をイメージ。地下階段を降りると、コンクリートのインダストリアルな空間に、ドラムを利用したテーブルやチェコの老舗曲げ木家具ブランドの椅子などを配し、大人の雰囲気を演出しました」
スペイン豚のローストやベーコン、自家製ピクルスなどをパンで挟んだ「キューバサンド」や日替わりのランチ、生ビール、シャンパンなど、モーニングから仕事帰りの軽い一杯まで幅広い利用に対応。少人数から50人の貸し切りまで応じる。
「サロンとテーラーのお客さまにより喜んでいただけないかと考えた結果、必然的にふらっと立ち寄りやすい飲食店にたどり着きました。さまざまな個性が気軽に集まり、ポジティブに語り合うような空気感を目指したい」
「コロナ禍で長い間営業自粛しておりましたが、ようやく営業再開できました。まだまだ気は許せない状況ですが、少しでも皆さまに心安らぐひとときを提供したい」
とは藤岡知世代表。3月2日に開店から1周年を迎えた。感謝の気持ちを込め、1〜31日までキープボトルを半額で提供。流川のスタンドでは珍しく、午後6時半に開店し、ポテトサラダやきんぴらごぼうなど、代表お手製のおばんざいを数種類用意。居酒屋ほどは食べられないという客などから、1軒目としても好評という。検温や、アルコール消毒、パーテーションなどでコロナ対策を整える。
「また皆さんにお会いできるのが楽しみです。5000円で飲めて、歌えて、おなかも心も満たされる。落ち着いた雰囲気で女性も気軽に来店できる喫茶店のような、スナックのような、流川に来たら寄りたくなる、居心地の良い店が理想。一緒に働いてくれる女の子の募集も行っています」
オーガニック素材でつくるパウンドケーキ、有機栽培された生豆を自家焙煎したコーヒー豆、1本1本厳選したオーガニックワインなどを販売、提供する。髙岡和彦店主は、
「なぜオーガニックなのかと聞かれますが、より良いもの、本来あるべき姿を追求した結果、オーガニックにたどり着きました」
パウンドケーキは珊瑚の塩、多良間島の黒糖、嬉野アールグレイなど8種類を用意し、どれも素材の味が生きたやさしい味わいが特徴。毎朝10時半〜11時に焼き上がるオーガニックベーグルも好評という。毎週水曜には東広島市の有機農園「あらちゃんファーム」の野菜も販売する。
「日本の食品添加物数は世界一です。私自身もできるだけオーガニック食品を口にするよう努めており、健康そのもの。最近は『オーガニックがかっこいいから』と始める方もおり、どんな形であれ、多くの方に良さが伝わればうれしい」
開業55年を迎えた中区立町の老舗ホテル。和食「芸州本店」、広東料理「トンフォン」、スペインバル「ミ・カーサ」の3店を擁する。
トンフォン料理長を経て1月に就任した小堀浩士総料理長((公社)日本中国料理協会理事)は、
「お客さまに愛されてきた味は変えることなく、目の前での料理の仕上げ、スモーク、エスプーマなど新しい技術を積極的に取り入れる。味と体験の両方を楽しめる空間が理想。まだ来店を控える方も多く、3店合同のテークアウトメニューやギフト商品の開発も検討しています」
豊島(呉市)出身。大阪や兵庫で修行後、阪神大震災を機に帰広し、入社。調理学校や修行では北京料理を学び、当初は広東料理との違いに苦労したと振り返る。
「言葉も使う道具も味付けも、水と油ほどの違い。毎日ついて行くのに必死でしたが、料理人として引き出しが増え、今では幸運だったと思います」
9年ほど前から務める進徳女子高校での講師経験を生かし、サービススタッフらに料理の基礎知識などを教える講習会を構想。いっそう料理に愛着を持って仕事に励めるチームづくりを目指す。
パリの街角をイメージした外観で、種類豊富な紅茶が特徴のカフェ。運営会社社長でプロの紅茶ブレンダーの廣瀬優子氏がブレンドした紅茶などに加え、軽食・デザートなどを提供する。松岡桂太店長は、
「自宅の次に安心できる場所がコンセプト。今、お客さまが求めている安心感や心身の健康を第一に考え、2月から営業スタイルを変更。コロナ対策専門カフェと銘打ち、提供する食事は根菜チキンカレーに限定。紅茶の種類を増やすほか、自宅用に茶葉の販売も強化します」
カレーはスパイスと刻んだ野菜で作ったルーに、レンコン、ゴボウ、鶏肉、キノコ類など免疫力アップ効果が期待できる食材を使用。今後も栄養面などに着目したメニューを、管理栄養士の指導の下に開発する。肌改善やスタイルアップ、滋養強壮など悩み別に調合したハーブティーなど10種類以上をそろえる。
「コロナ禍で新しく提供を始めたハーブティー〝メディカルティーRelax〟がお薦め。ミントなどをベースに抗菌・殺菌作用が期待されるレモングラスをブレンド。広島の農園で作られた無農薬の茶葉を使っています」
麺をぱりっとした食感に焼き上げる焼きそばが看板商品。ウスターソースとしょうゆに、うま味のあるいり粉だしを加えた特製ソースで仕上げる。1月に八丁堀内で移転。4月で開業10年に。大分県の焼きそば専門チェーン「想夫恋」で修行した下方智樹店主は、
「九州出身者の来店も多く、ありがたい。ソースに加えるだしは鶏がら、シイタケ、トビウオなどを試し、今の味にたどり着いた。これからも改良を続ける」
昼は焼きそばがメインだが、夜は日本酒好きが集う酒場となる。燗かん酒に合う銘柄を中心に約20種類を常備。定番に日替わりメニューを加えた約50種類のメニューを、中心価格帯350円で提供。無農薬野菜を契約農家からお任せで仕入れ、それに合わせてメニューを組むなど一品料理にも手を抜かない。日本酒が進む料理と〝締め〟の焼きそばを目当てに、政財界に常連客は多い。
「皆さんにおいしいと言ってもらい、楽しんで帰ってもらえることが何よりうれしい」
京橋のたもとの目を引くデザインの建物は、広島の造船技術を生かした鉄骨造りに和風のしつらえが調和しており、2019年のひろしま街づくりデザイン賞を受けた。
そばどころ山形のそばがベースの素朴な田舎そばを、実を保存する板箱で供する。北川尚勲料理長は、
「外殻を取って甘皮ごと石臼でひいた〝挽きぐるみ〟のそば。かみしめて味わえるように、一般的なそばより少し太めで短めに打っています」
そばつゆは、特注の配合の節と昆布で取るだしにしょうゆがきりっと香り、素朴なそばによく合う。
「ふらっと立ち寄って、焼きみそや板わさ、だし巻き卵などちょっとした料理をあてにお酒を飲み、そばで締める〝そば前〟の文化を、あまりなじみのない広島でも広めていきたい」
3000円コースは、酒肴と旬菜盛り、季節の天ぷらなどが付く。2人から、要予約。
東京、軽井沢、京都、イギリスで約13年間、修行を重ねた銀純洋オーナーが日本料理と仏料理の調理法でつくるオリジナルの和食フレンチ〝瀬戸内キュイジーヌ〟を提供する。カウンター越しに見えるいろりや木を基調とした和の落ち着いた雰囲気が特徴で、肩肘張らず女性1人でも来店しやすい店づくりを目指す。オーナーは県主催の料理コンクールでファイナリストに選出されており、商工会議所や日本政策金融公庫での講談や、地元企業主催の料理教室の講師なども務める。
「技術面で地方の飲食店にもまだまだできることがあると実感しています。真空調理や低温調理、瞬間薫製など、一般的な食材に最新の技術を使い、求めやすい価格で提供することで広島の食文化向上に努めたい」
瀬戸内の魚介類や野菜など旬の食材を使った全7〜8品のコース「かしはら」5000円が人気という。
和テイストを盛り込んだ和洋創作料理を提供するイタリア料理店。3月で7年目を迎える。広島市南区出身で、県内和食店をはじめ、東京の老舗ホテルでフレンチやイタリアン、北海道でジンギスカン料理など幅広く経験を積んだ住本茂店主は、
「開店当初から洋食にとらわれず、いろいろな料理を楽しんでもらえるように要望があればみそ汁や煮物も作る。メニューにない料理ばかりを頼む常連さんもいます」
店内にルアーやリールなどを飾るほどの釣り好きで、店休日には旧知の経営者など常連客と遊漁船で近海に繰り出し、釣果をメニューに加えることも。持ち込みにも応じる。
「ランチでハモのフリットを出したり、県北で食べられるワニ(サメ)料理を前菜で出したりと、目の前のお客さまにいかに楽しんでもらえるかを大切にしています。コロナ禍で始めたカレーのテークアウトが口コミで人気が広がるなど、地元の人に支えてもらっている。縁を大事に、愛される店づくりに一層まい進します」
胡町本店、福屋広島駅前店など9カ所のお好み焼き・鉄板焼き店を展開する。蔵原春利社長は、
「商業施設の営業日に準じる店舗を除き、コロナ感染防止の営業自粛要請に可能な限り協力しています。ウォルト、フードパンダの宅配サービスが利用でき、イオンモールの広島府中と祇園店は2月から出前館に対応予定。もともと麺全体をしっかりと焼く方針で、宅配やテークアウトでもベチャッとした食感にならず、おいしいです」
国産小麦粉100%の特製麺をはじめ、地産地消で庄原市高野町などの県産キャベツ、免疫力を高める竹粉配合の無農薬エサで育てられた県北部の鶏卵を使う。センナリのHACCP認定工場で作る特製ソースも強み。食の安全と味の両立を追求している。営業中の店舗の出入り口にはタブレット型自動検温器や消毒スタンドを備え、全テーブルに消毒液を置く。お好み焼き店には大きなダクトがあり、換気が十分にされているという。
「つらいのは私どもだけではありません。どんな状況でも焼き手が最高の一枚一枚を積み重ねていくことが、これからも五ェ門が愛される唯一の道だと思っています。常連さんからの励ましの言葉が何よりうれしい」
新年は汁なし担々麺のような風味の「担々焼きそば」のタレを一新する予定。
広島の新鮮な素材を生かした日本料理を提供。1月20日、中区幟町から胡町に拡張移転する。髙山和典代表は、
「このご時世の中でも、旧年中は例年以上に多くのお客さまのご支持を頂き感謝。新店舗ではよりお気軽に来店していただけるよう、予約不要の一品料理も取りそろえます。〝新生髙山〟にぜひご期待ください」
神田川俊郎さんの日本料理「神田川本店」(大阪)で修業を積み、県内のホテルの料理長などを経て独立。2011年から西日本調理研究会の会長を務める。飲食業には税理士、不動産業者など、多くの業種がかかわるため、後進のための情報交換の場づくりにも積極的だ。
「冷凍アナゴ飯(1500円)を開発し、商品化。ただいま先行発売中で、ネット販売も計画しています。恒例となった節分の恵方巻きも予約を受け付けています」