特集やピックアップ記事を紹介。
自動車部品メーカーのヒロテック(佐伯区石内南5-2-1、鵜野徳文社長)は生産設備を製造する米国のヒロテックアメリカ(ミシガン州オーバーンヒルズ)を1万2000平方㍍増設し生産能力を増強した。ゼネラルモーターズ(GM)のピックアップトラックの生産設備を受注し、GMの米国内の工場に据え付ける。ヒロテックメキシコ(グアナファト州シラオ市)も1万2000平方㍍を増設し、ドイツのメーカーのメキシコ工場向けにボディ部品を生産する。ドイツのメーカー向けに車体部品を製造するヒロテックマニュファクチャリングドイツ(バイエルン州ガイゼルへーリング市)も同メーカーのミュンヘン近郊の工場向けに新たにトランクリッドの製造を予定。現在工場増設のために敷地を造成中で、早ければ2024年度中の着工、26年度の稼働を見込んでいる。
ヒロテックアメリカは、GMの北米工場で生産される全車種のドア生産設備を設計製作している。GMの主力商品であるピックアップトラックのモデルチェンジが今後数年にわたり計画され仕事量の増加が見込まれるため、23年に工場増設分を含め延べ3万5000平方㍍に増床し、ドアなどの組み立てラインの仮設スペースを拡大した。
県内の木材関連事業者は世界市況に影響を受けにくい国産材の安定供給体制の構築を進めている。ウッドショック(米国での需要拡大による木材の高騰)は落ち着いたものの、物流費の高止まりや円安が輸入材の相場を押し上げていることが背景にある。製材工場の新設や、日本の風土に合う国産材を活用した高付加価値ブランドづくりに取り組んだり、供給と価格の安定のために山林経営を強める動きもある。
国内製材最大手の中国木材(呉市)は秋田県能代市に全国6カ所目となる国産材製材工場を新設し、1月に稼働を始めた。製材・集成材工場や加工ラインを整備し、発電能力9990㌔㍗のバイオマス発電設備も設けた。建材メーカーのウッドワン(廿日市市)は子会社フォレストワン(同)の庄原市の製材工場を4月に稼働。
2025年に創立110年を迎える安田学園。幼稚園から小・中・高・大学・大学院を運営し、同年4月には大学内に理工学部を開設するなど、教育環境の充実を図る。また、地域社会との連携も重視。子育て環境に配慮した地域づくりや、地元企業、団体と教育を考える場を意識している。昨年11月に理事長に就いた安田馨理事長に学園の運営方針を聞いた。
-学園の方針を教えてください。
学園訓「柔しく剛く」が幼稚園から大学まで貫く基本理念となっています。その土台の基に時代の先進性を取り入れ、「伝統と革新」の両立を目指しています。
例えば安田学園では立ち居振る舞いを身に付けます。あいさつや礼儀は人間関係を気持ち良くする潤滑油。礼儀や伝統を大切にしながら、変化に先んじて対応する姿勢を保ちたい。
全国に46拠点を構え、ミャンマーなど海外にも事業を展開する西日本有数の総合建設コンサルタント。7月26日付で社長に就いた。社会資本整備や防災、まちづくりなど多様な領域に携わるが、今後はインフラ設備の維持管理や、脱炭素社会の実現など新たな領域への対応が不可欠という。力を入れる事業や抱負を聞いた。
-注力する事業・分野は。
総合建設コンサルタントであり、今後も全方位に対応していく。特に力を入れたいのが、橋や上下水道などのインフラ設備の維持管理だ。老朽化を背景に今後、一層重要になるだろう。まずはアセットマネジメントシステムの国際規格ISO55001の取得に向け準備を進めている。設計から調査、維持管理まで一貫して取り組めるのが強みで、それらを生かして増える需要の受け皿になりたい。
マツダ(毛籠勝弘社長)は2025年3月期に、確認できる1997年3月期以降でそれぞれ最大となる設備投資1700億円、研究開発費1600億円を計画する。「CX-60」など高収益な新シリーズ「ラージ商品」(比較的車体が大きく馬力のあるSUV)の増産や電動化などに充てる。
特に北米市場の販売好調を受け、米国アラバマ、メキシコ、日本の各工場で増産する。ラージ商品は3列シート車「CX-80」と北米向け「CX-70」のプラグインハイブリッド(PHEV)搭載モデルを加える。また、北米市場で「CX-50」にハイブリッド(HEV)の導入も計画。EV市場が拡大する中国では、協業先の技術を活用したバッテリーEV(BEV)とPHEVを設定する新型車「EZ-6」を年末までに投入するなど反転攻勢を図る。
スーパー、百円均一ショップなどチェーンストアを営む小売業が加盟する業界団体。中四国の企業から初めて会長に就いた尾﨑氏は、メーカーや卸、物流といった他業界とも連携し、人手不足、物価高騰など業界の課題に立ち向かう構えだ。協会の事業方針や業界の展望などを聞いた。
-協会の概要は。
1967年に発足し、通常会員47、特別賛助会員20、賛助会員373社(4月19日現在)で構成する。チェーンストアの健全な発展と普及、小売業の経営の改善を通じて、消費者の生活の向上に寄与することを目指している。
-どのようなことに取り組みますか。
人口減によるマーケットの縮小、働き手の不足、エネルギー・物価高、円安、環境問題への対応など山積する課題に対して、各社の意見、知見を集めて最適解を導き出し、法律・税制に関する要望など政府への働き掛けも行っていく。
広島大学発ベンチャーのマテリアルゲート(中野佑紀社長)は6月、コンピューターメモリの消費電力を約90%削減できる新素材「単分子誘電体」のラボラトリーを同大学インキュベーションオフィス(東広島市鏡山3-10-31)に開いた。7月10日までにファンドから1億4000万円を調達し、資本性ローン2000万円を受けるなど体制を整備。既に複数の大手メーカーと協業が決まり、まずは2025年までの薄膜コンデンサ(蓄電器)市場参入を計画する。
隣り合う2室計100平方㍍を借り、「材料ラボ」と「デバイスラボ」にした。精製装置や合成炉、顕微鏡などを置く。同社は分子設計や特性のカスタマイズ、成膜や微細加工、デバイス設計などのコア技術を持つ。ラボと協力先を合わせて現在の年間生産力は数万個。研究員とエンジニア各1人が新たに入社し、大学院の協力者含めスタッフ約10人。単分子誘電体を開発した同大学大学院の西原禎文教授が最高科学責任者を務めている。会社設立は23年6月19日で、資金調達によって300万円から7300万円に増資。
県内の商業施設で体験型アミューズメント場の開業が相次いでいる。自然と環境をテーマにした学びの提供や、拡張現実(AR)技術を用いるなど、各店は違いを打ち出す。子育て世代などの「コト消費」需要を掘り起こして来店を促し、商業施設全体への波及効果を狙う。
エディオンピースウイング広島(中区)そばで8月1日に開業する商業施設ヒロパの一画には、カーゾック(三重)が木育をテーマにした「kiond(キオンド) ひろしま」を開く。0〜6歳が対象で、三重に次ぐ2店目。木製のジャングルジム(写真)や滑り台、おもちゃを置くキッズプレイパークに加え、ライブラリーカフェ、木質生活雑貨の販売スペースも備える。箸づくりや伝統工芸が学べる体験イベントも計画。1号店の2023年来場者数は約16 万人で、それ以上の利用を見込んでいる。
2015年10月に地場流通大手イズミと資本・業務提携し、来年で10年目を迎える。商品仕入や物流、システム、カードなどイズミのインフラとスケールメリットで、店舗の運営力を引き上げている。6月1日付で会長から現職に戻り、さらに10年後を見据える。事業環境が激変する中、出店戦略や店舗運営などを中心に経営方針を聞いた。
-近年、スーパー業界で再編統合が加速している。競争激化に打ち勝つ経営戦略をどう描いていますか。
当社が店舗展開する地域でも他エリアからの新規参入が目立つほか、CVSやドラッグストアなど業態の垣根を超えた競争も一段と激化している。
1917(大正6)年に日本で初めて市販用を発売し、国内ヨーグルトメーカーの先駆者として知られるチチヤス。レジャー産業参入など多角経営が裏目に出て、不動産事業で多額の負債を抱え2011年、伊藤園の完全子会社となり再建の途に就く。2014年7月、代表権のある副社長に就任。18 年5月、現職。精力的に社内改革を進め、財務の健全化が図られたことから、生え抜きの久保貴義取締役へ経営のバトンを託す。地縁も人脈もない中での老舗企業の再生を請負った覚悟とその成果を振り返ってもらった。
-業績回復の手応えについて。
就任してなかなか結果は出なかった。まず、本当に必要な業務かを見直し、例外は設けず、人員の配置換えなどを進めた。地元の老舗企業には安定を求め〝寄らば大樹〟の意識が芽生えがちで、「今まで通りでいい」という風潮もあった。
-就任の経緯と抱負をお聞きします。
山口フィナンシャルグループの本部で営業や戦略を担当し、昨年6月からもみじ銀行の専務を兼任しており、頭取就任は年明けに山口フィナンシャルグループの椋梨敬介社長から言われました。椋梨社長も山口、広島、九州北部の営業エリアの中で、広島エリアの重要性を認識しており、「広島でしっかり結果を出してほしい」と託されました。専務として「もみじ銀行にはまだまだ広島でやれることがある」と思っていたので、これからも広島経済の発展に専念します。お客さまの話をしっかり聞き、融資だけでなくグループ会社のサービスを提供するなどして支持を高めたいですね。
-マイナス金利解除の対応は。
金利への対応はどこの銀行でも共通の課題です。現場で金利の上昇を体験した人がほとんどいないのが実情で、法人、個人の営業担当者が勉強会などで「金利が上がるとはどういうことか」、「金利上昇局面でどうお客さまに寄り添うか」などを学んでいます。
新規事業開発支援などのRelic(東京、北嶋貴朗社長)は5月28日、県内初拠点「広島インキュベーションスタジオ」をJR広島駅前の広島JPビルディング10階に開いた。国内14カ所目。県内の産学官連携を推進し、イノベーション創出に向けた人材の発掘や育成に力を入れる。
面積138平方㍍にスタッフ3人とインターン生1人の合計4人が勤務する。SaaS型プラットフォームで新規事業開発での課題を解決するインキュベーションテック事業を強みに、起業家やイノベーターの創出拠点を目指す。他に事業戦略の立案から実行までを総合支援するほか、オープンイノベーション事業ではスタートアップへの投資や共同事業も行う。また開設前から、広島大学が中心となって運営する中四国地域の起業活動支援プログラム「PSIアントレプレナーシップ委員会」や、同大学が産学協同研究などを推進する「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」に参画している。