広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    「三谷春」が県品評会史上初の1位 / 林 英紀 氏
    NEWSなひと
    中国木材で初の森林J‒クレジット 800㌧分を広島銀行に販売 / 中国木材 堀川 保彦 社長、広島銀行 清宗 一男 頭取
    6月に設立70周年 地域密着型貫き信頼深める / 広島ビルクリーナー 大下 達士 社長
ニュース一覧
+ 続きを読む +

グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
りんご / 野上 輝明 店主

住宅街にあるお好み焼き店。県内のすし店などを経て、中区薬研堀にあった人気お好み焼き店「八紘」で4年半修行した店主が、地元で2011年に開業した。
「生まれ育った町で長く愛される店にしたいと、近所で両親が営んでいた喫茶店の屋号を引き継ぎました。ヘラで押さえてキャベツの水分をしっかりと飛ばし、甘みやうま味を閉じ込めるのがポイントで、麺はコレステロールゼロでクセのない『グレープシードオイル』で焼き上げます。ラードよりもパリッとした食感に仕上がり、あっさり味のオリジナルソースとの相性もばっちりですよ」
 定番の肉玉そばをはじめ、おろしたてのとろろをキャベツとモヤシの間に入れて大葉を加える「りんご焼」も人気。2年前に全国放送のテレビ番組で紹介されて以降、県外など遠方からの来店客も増えたという。
「当店を愛してくださる方々に喜んでもらえるように、ひたむきにおいしいものをつくり続けていくのみです」

    INFORMATION
  • ◆住所:南区段原山崎2-13-12
  • ◆電話:082-286-1470
  • ◆座席数:20席
  • ◆平均予算:1000円
  • ◆営業時間:午前11時半〜午後1時半、午後5時半〜9時半
  • ◆定休日:日曜
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
(社)ライフステージ / 大瀬戸 亮平 代表理事

出身地の安佐北区安佐町で高齢者向け体操教室や、野球経験を生かして中学生の硬式野球チーム、社会人女子硬式野球チームを運営しています。
 小学3年で競技を始め、中学は軟式チーム「広島グリーンファイターズ」で腕を磨きました。ポジションは投手で3年時には120キロ台後半の直球を武器にエースとして奮闘。進学時に複数校から声を掛けていただき、縁あって広陵高校に入学。さまざまな事情で軟式野球部に所属しましたが、良き仲間と充実の日々を過ごしました。
 高校の同級生には2003年春の甲子園優勝バッテリーの西村健太朗(元巨人投手)と白濱裕太(元カープ捕手、現スコアラー)がいて2、3年時は同じクラスに。二人とも真面目な性格で、部活だけでなく学業も手を抜かない。日々の厳しい練習でヘトヘトのはずなのに、定期試験はクラス上位の成績でしたね。遊びも真剣。冬に雪合戦をした時に、私の投げた雪球がフランケン(西村)の太ももに直撃し、腹を立てて投げ返してきた彼の剛速球がめちゃくちゃ痛かったのを覚えています(笑)。彼らがドラフト上位指名された時にクラス全体で大いに祝福したのはいい思い出ですし、私の結婚式で白濱からもらったカープ選手のサインの寄せ書きは家宝です。
 幼い頃は球場によく足を運びましたが、今はスマホアプリでの速報確認がメイン。指導者の立場になると試合の見方も変わりますね。ひたむきに1勝を重ね、頂点を目指してほしい。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
新風を起こす

筆生産量全国一の熊野町で筆の日の3月20日、画期的なイベントが話題を呼んだ。
 熊野町商工会の有志でつくる「熊野町の観光を考える会」(34社)は、タイの三輪タクシーで有名なトゥクトゥク2台を繰り出し、筆の博物館「筆の里工房」と仿古堂本店横の観光案内所「筆の駅」を循環。朝9時から午後3時まで15分刻みで走り、家族連れやカップルら130人余りが、春の風を受けながら熊野のまち巡りを楽しんだ。土屋武美会長(晃祐堂社長)は、
「試運転を重ね、当日は保安員も同乗し運行。何より安全面を確保し無事終えることができた。熊野町は交通の便に課題があるためか、素通りされることが多い。何かできることはないかと考えた。町には榊山神社や光教坊の大イチョウなど魅力的なスポットが点在。当会は以前、彼岸花を植える活動や一般から募った花木の穴場を観光マップに仕立てた。ここらを自由に回遊できる交通手段の検討を重ねていた。筆の日を盛り上げたいと、参加した仲間の絆が深まったのも大きな成果。できることから始め、今後は町を周遊する仕組みを構築し、軌道に乗せていきたい」
 トゥクトゥクのハンドルは有志が握った。商工会の補助金や車体広告などで協賛も募って運営資金を賄った。マイクロモビリティ実証実験事業として手応えを得たことから来年の実施を見据える。
 6月4日にあった「クマノ・クリエイティブ・パレット(KCP)」の今年度の第1回会議で成果を発表。KCPは、文化芸術のまちづくりを目指す町が筆の里工房向かいに建設中の観光交流施設を拠点に、さまざまなジャンルで創作に励む人の輪を広げ活性化につなぐ活動。「手仕事の町」としてハンドメイドのワークショップも開き、人が集まり、交流を生む起爆剤の役目を担う。▽自然▽街歩き▽中心エリアの活性化▽町を巡るアクセス―の四つの分科会も設け、来年度開館に向け準備が進む。筆の里工房が事業を受託。
 町は熊野道路の無料化や新しいバイパス整備などを受け宅地化が進み、人口は社会増の傾向を示す。観光振興の整備が進めば、人が人を呼ぶ好循環も生まれる。国が指定した伝統的工芸品の熊野筆は海外からの来訪者も十分に満足させる奥深さと魅力がある。こうした資源を生かし、熊野筆生産者をトゥクトゥクで巡るツアーがあってもいい。
 土屋会長を補佐する丸山長宏副会長(瑞穂社長)は、
「事業の実働に当たっては町の交通や安全に知見のある外部関係者に都度、壁打ちしアドバイスを求めた。〝共創〟の意識が大事だ。会のメンバーとは共通の目標と価値観の〝Same Page〟を共有しながら話し合い、企画を進めていった」
 何よりゼロから一歩踏み出す実績をつくり、次に向かう原動力となったよう。くしくも二人とも熊野筆づくりが家業の家の〝入り婿〟さん。共に県外出身で異業種から伝統産業を継承する宿命と出会ったのだろう。
 革新は「よそ者・若者・バカ者」が起こすといわれる。既成概念に縛られず、自由な発想で新風を吹き込む。「経営の神様」と言われた稲盛和夫も彼らの存在を活用していたと伝わる。失敗を恐れずチャレンジし、向かい風に向かって突き進む。その担い手が人を動かし、組織を動かす。革新は周囲を巻き込む情熱、夢から大きく動き出す。

一覧に戻る | HOME