広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

広島経済レポートの記者が注目する旬の話題をコラムで紹介。

  • 2020年6月18日号
    周回遅れの先頭に立つ

    人の命、健康を守ることが最優先。しかしパンデミックで経済活動が止まり、人や物の交流が遮断されると市民生活はたちまち困窮し、企業や都市はおろか、国家さえつぶれるのではないかと危機感を抱く人もいたのではないか。そもそも国柄なのか、指導者の資質か、各国の新型コロナウイルス対策に格段の違いが浮き彫りになった。何が正しく、何が間違いだったか、確かな教訓を導き出し、パンデミックに備えなければならないという大きな命題を突きつけてきた。
     戦いに明け暮れ、国内が乱れに乱れていた頃、人や物の往来には極めて不便だが、ただ防御に強いという理由で山城が築かれた。しかし活発な経済活動を興し、軍事費を稼ぎ、他国の情報を探り、そして街が栄え、領地が拡大発展するという教訓を導き出し、多くの戦国大名は平地へ城を築くようになったという。いつまでも山にこもり、時代の流れからも遮断された国は衰退し、敵国に領土を併呑された歴史がある。
     いまの広島は大丈夫だろうか。世界から人、物、情報が集まる国際会議や見本市といった「MICE(マイス)」都市を目指し、大規模な会議場、展示場などの施設をつくろうと一歩を踏みだそうとした矢先、新型コロナウイルスが来襲し、その機運が大いにそがれた。だが、希望へ向かう歩みを止めてはならない。しばらく中断されていた「商工センター地区活性化検討会・MICE部会」の第3回が、6月5日に開かれた。
     市の関係部局のほか、広島総合卸センターなどの団地組合や、広島市中央卸売市場、地元町内会などが出席。先行都市との比較を踏まえ、MICE施設の規模・機能などに関する市の調査結果を説明。事業推進の役割を担うファシリテーターとして活躍する田坂逸朗氏を会の進行役に、広島らしいMICEの在り方などが話し合われたという。
     2017年に卸センターが「メッセコンベンション施設の誘致を中核とする商工センターのまちづくり」提案をつくったのが発端。その後、広島商工会議所が商工センター地区や広島西飛行場跡地を候補地にMICE施設の整備構想をまとめ、県や市へ提言。それぞれ調査費を予算化したが、県は1月に計画を断念すると発表した。これで商工センター地区に絞られた格好だが、卸センターは今年度から3D(3次元)画像で描く「まちづくり提案」をつくる。市が推進するMICE都市構想や中央市場建て替え事業との相乗効果を視野に入れ、中小企業会館や広島サンプラザ建て替えを核とするMICE施設整備構想の推進に向け、JR新井口駅周辺整備やペデストリアンデッキの拡充、おろしまちアジト通り(仮称)構想などを分かりやすくビジュアルにまとめる。
     周回遅れの先頭に立つチャンスがある。例えば、新しい生活様式に対応し、換気が可能な大きな窓の会議室や、災害時の避難所、自動運転やオンライン機能を装備したスマートシティー、旅客船の港、交通アクセスや宿泊・商業施設整備などに抜かりなく、夢のある大胆な絵となるよう、英知を結集してもらいたい。計画倒れになり「もはや広島の出番はない」と烙印(らくいん)を押されることがないよう願う。

  • 2020年6月11日号
    パンデミックに挑む

    世界が未曾有の大混乱に陥った。新型コロナウイルスの感染者は630万人以上、死者38万人を超え、さらに第2波、3波の襲来が懸念されている。一途にグローバル化を進めてきた経済活動に急ブレーキが掛かり、サプライチェーンの在り方を含め、世界的な経済活動をどう再構築すればよいのか、厳しく問い掛けてきた。むろん、企業単独で、わが国だけで生き残ることはできないが、世界的な連携の危険と安全、成長と安定の調和をいま一度考え直す機会になり、コロナ後、どのような教訓を導き出すことができるだろうか。
     医療情報サービスのデータホライゾン(西区)は、独自開発した医療データ分析力を生かし、パンデミックを未然に防ぐ感染症のモニタリングシステムの研究開発を始めた。同社は20年以上を費やし、開発を重ねた医療データベースとシステムで健康診査結果とレセプト(診療報酬明細書)データを分析し、全国に先駆けたジェネリック医薬品通知サービスや糖尿病などの重症化予防事業を展開。
     さらに国民皆保険制度を維持するため、国民健康保険などの保険者向けに治療中の病名の特定と病名ごとの医療費算出、病期の判定などにより効果の出る保健事業「データヘルス」関連サービスへ踏みだした。関連企業と提携し、全国展開を加速する構えだ。現在、430以上の自治体向けに導入が進み、生活習慣の行動変容によって医療費抑制の成果が出始めているという。内海良夫社長は、
    「コロナによる世界経済の損失は莫大。健康増進による医療費適正化の経済効果など吹き飛んでしまう。今後コロナに続くパンデミックがいつ発生するのか、どのようにして防ぐのか、いまこそ国を挙げて抜本的な対策を講じることが急務。国民皆保険が1961年にスタートした当時、高血圧や高血糖、脂質異常症など糖尿病に至る生活習慣病はほとんどなく、感染症対策が狙いだったという。有史以来、ペストやコレラ、スペイン風邪など人類の歴史は感染症との闘いだった。サーズやマーズが日本に上陸しなかったことから、パンデミック対策が立ち遅れていないだろうか。国策として重症化予防による医療費適正化はむろん、待ったなしだが、感染症対策を一歩間違うと国家がつぶれる事態になりかねないことが明らかになった今、新たな感染症の早期キャッチ、早めの対策が打てる態勢を敷くことが何より大事。匿名化したレセプトデータから感染症が疑われる医療情報を活用し、パンデミックを未然に防ぐことが可能な感染症のモニタリングシステム開発に着手している」
     保険者、大学などの研究機関や厚生労働省、製薬会社、医師会などとタッグを組み、システム構築に挑む構え。
     レセプトには傷病名や診療行為、服薬などのさまざまな医療情報が詰まっている。それぞれの目的に応じた整理・分析、メンテナンス体制を構築したことにより、レセプト情報を宝の山(ビッグデータ)に変貌させた。この医療ビッグデータを活用し、感染症の水際対策としてモニタリングという新たな領域でどのような成果を挙げることができるだろうか。危機だからこそ、知恵を絞り、技術革新のチャンスがあるという。

  • 2020年6月4日号
    成長戦略を描く

    大型ビル建て替えが相次ぐ市内中心部。広島銀行本店をはじめ、損保ジャパン広島ビル、広島アンデルセンなどの旧建物の解体工事を次々に請け負った桑原組(西区己斐本町)が着々と地歩を築き、業界の話題になった。創業来、施工実績は累計1万棟以上に上る。近年は、中区富士見町の再開発関連などの元請け工事も増え、2019年11月期決算で過去最高の売上高26億7000万円を計上。
     2009年7月に就任した4代目の桑原明夫社長は、どん底からの出発だった。リーマンショックのあおりで業績が大きく落ち込み、目先は暗闇。しかし負けじ魂はすさまじく、明けても暮れても拡大発展の戦略を練った。矢継ぎ早に新基軸を打ち出し、経営改革を断行。積極果敢な取り組みが成果を上げ、わずか10年で業績を4倍以上に引き上げた、その腕力がすごい。
     1958年の創業。ゼネコンの下請け工事が主力だったが、建設業界全体が苦しんだリーマンショックを契機に元請け工事へ照準を合わせた。経営理念に「過去の歩みを尊重し、常に新しい価値を創造し続ける」と掲げる。従業員評価制度や資格制度の導入、営業組織の再構築などの抜本的な改革へ踏み出した。桑原社長は、
    「会社が生まれ変わらなければ立ちいかなくなる危機感があった。リストラはしない。いまを踏ん張り、戦力強化のために社員教育を徹底。数値目標を掲げ、将来の姿を描くことができる戦闘能力を備えた組織をつくることが、その頃の一番の目標だった」
     反発もあったが、社員一人一人と面談を重ねた。強みとする工事実績のほか、すべての部門を洗い出し、メスを入れ、5年で背筋の通った骨格をつくった。第二創業と位置付け、先々に備えた。
     かつて売り上げの大半を占めた下請け工事は現在65%程度になり、元請け工事とその他で35%に。解体工事を軸に土壌汚染・アスベストなどの環境対策工事を施し、土地活用まで行う「ワンストップ土地更地化サービス」事業を確立。競争力を高めた。
     今年で新卒採用は7年目。幹部候補生を育てようと昨年から大学生、今年から大学院生の採用も始めた。5年前から大手ゼネコン協力会社の百数社でつくる「若手同期会」に合同研修会を呼び掛けた。スマホがコミュニケーション手段になり自己表現が苦手な若手の不安を払拭しようと、ひるまからビアホールで〝社長塾〟を無礼講で開き、桑原社長の失敗談にどっと歓声が上がった。
    「好奇心と探求心を持ち、自分の成長を楽しめる人材が当社の宝。自己成長の要求が満たされてこそ、継続する力となる。社員の成長が会社の成長の証。夢や戦略を描くことができ、覚悟をもって決断、実行できるようになれば、一騎当千の力になる」
     無印良品の家FCで家づくり分野に乗り出し、早くも3年で全国38加盟店中、トップクラスの実績を上げた。まちづくりを見据えたリノベーション事業も展開。4月に東京に拠点を設け、機能材フィルムを扱うスリーエムジャパン(東京)や家具インテリア企画販売のニトリ(同)と組んで首都圏開拓に乗り出す。成長戦略の一番に、社員教育を定めた目に狂いはない。

  • 2020年5月28日号
    ぶっ壊す

    バブル期の雇用過熱、そして就職氷河期、再び雇用過熱と新卒採用をめぐる大きな起伏があったが、新型コロナ収束後、人材採用や職場環境はどう変わるだろうか。さて、今春スタートを切った新入社員の多くはウェブ入社式やオンライン研修などのほか、自宅待機、テレワークなどと異例づくしの職場に、よほど面食らったに違いない。
     総合解体工事業を軸に、住宅建築やリノベーションなどに事業領域を広げている桑原組(西区己斐本町)は、今春から独自の「新卒育成プログラム」を立ち上げ、新たな新人研修を始めた。現場の安全を徹頭徹尾たたき込むのは当然のこと、先輩社員らが知恵を絞り、手作りで作成したテキスト(334ページ)は同社の歴史や経営理念、ビジネスマナー、OAスキル、社内基幹システム、建設業概要、廃棄物の基礎知識、働き方、ビジネスモデルとマーケティングなど13項目で構成。
     研修後も実務テキストとして応用できるよう工夫を凝らす。新人を指導する先輩社員の成長を促す狙いもある。
     業歴60年以上。4代目の桑原明夫社長は、
    「自分がどうなりたいのか、夢を描く。その一歩からすべてが始まる。むろん基本動作は大事だが、個性を失えば元も子もない。何が本物か、考える力こそ成長の源になり、やりがいを引き出す」
     この信念は、自らの体験に裏打ちされている。明治大学卒業後、都銀や生損保会社、大手など7社からもらった内定を蹴り、周囲がこぞって反対したリクルートに入社。当時、1988年に発覚したリクルート事件で政財界が大揺れとなった大スキャンダルのまっただ中で、同期入社は例年から半減し約500人。
     反骨心があったのだろう。入社早々、全国2000人の営業マンのうち、2年連続で最優秀表彰を受け、一人白いブレザーをもらった。1日に2000件の電話を掛けまくる日々。目標達成への強烈なプレッシャーにつぶれる社員も多かった。
     表彰式で「こんなやり方を続けていると社員の方がもたない」とぶち上げた。当然、上司から大目玉を食らって人事教育課に配転。だが、ここでも持ち前の突貫精神を発揮した。本音をさらけ出さない社員を飲み会に引っ張り「硬い殻をぶっ壊す」勢いでとことん語り合う。人情家なのだろう。まっすぐな気性に相手も心をほどく。やがて本音を話しはじめ、思いがけない発見もあったという。
     毀誉褒貶(きよほうへん)。さまざまに取り沙汰されたリクルート創業者の江副裕正氏の言葉「自ら機会を創り出し、その機会によって自らを変えよ」を、そのまま桑原組の人事理念に掲げる。この言葉は、リクルートを退社後も自身の生き方、経営の進め方、人を育てる考え方などに脈打つ。
     学生時代に描いた夢を実現すべく、30歳で独立。スリーエム代理店として新会社コラボを設立し、ようやく軌道に乗せた矢先、親族の経営する桑原組がリーマンショックで苦境に陥り、叔父の3代目から経営継承を懇請され、2009年7月に社長に就く。「自らの魂を売る」覚悟だったという。身内の苦難に背を向けることができず、運命を受け入れ、経営再建に全身全霊を注いだ。−次号へ。

  • 2020年5月21日号
    苦難を乗り越える

    世界が激変した。新型コロナウイルスが猛威をふるい、日常生活や経済活動などに未曾有の苦難がのしかかった。スポーツ界へも容赦はなく、東京五輪をはじめ、プロ野球などは軒並み延期し、高校野球の甲子園大会は中止。無観客で行われた大相撲春場所のテレビ中継は、何とも違和感が際立った。
     国が示す「新しい生活様式」は人との距離を守り、人との接触機会を減らすことを求める。外出自粛要請で、テレワークやオンライン授業などが広まった。いまを乗り切るほかないが、事態の収束後、人との交流の在り方はどのように変わるだろうか。
     東日本大震災の後は、人との絆が見直されて互いの助け合いや、地域とのつながりなどが再認識された。例えば、企業では社員間の交流を深めようと社員旅行や社内運動会を復活する動きがあった。職場も、スポーツもリアルに触れ合う人と人、仲間がいるから、より大きな感動や共感が生まれるのだろう。
     広島修道大学は2016年から4年間にわたり、県内の中小企業が参加する合同運動会の実施に協力。このほど同プロジェクトの報告書をまとめた。大手はともかく、従業員数の少ない中小が単独で運動会を開くことは難しい。ならば合同でやろうと呼び掛けたところ、学習塾や印刷会社、電子機器販売、解体業などさまざまな業種にまたがり事業所数は累計85社で、延べ参加者は811人に上った。これに83人もの学生ボランティアが協力した。
     修道大が地域課題の解決策を当事者と共に探り、行動を起こす場「ひろみらイノベーションスタジオ」の一環として人文学部の菅尾尚代教授、実行委員会事務局を務めた全国健康保険協会広島支部のほか、広島経済研究所、エイパスが企画・運営に携わる。 
     運動によるレクリエーションイベントを通じて参加者の運動習慣の醸成や健康に対する意識の向上とともに、参加企業の社員間のコミュニケーションを活性化し、企業間の親睦を深めることが狙い。社会人と学生が共通の目的で同じ時を過ごし、組織を越えて産学連携の力を引き出したことも大きな成果といえよう。
     会場は修道大体育館。各企業のベテランや中堅、若手でチームを編成。全力で走り、バトンを手渡すリレーや綱引きなどに汗を流し、わっと歓声が上がった。自然と笑顔がこぼれ、仲間を応援する雰囲気もさらに盛り上がる。
    「普段は話す機会の少ない同僚や他の企業の方とも気軽な会話が弾んだ。家族連れで参加し、子どもと一緒に楽しむ時間ができた」
     ボランティア学生は、
    「企業の方との交流は初めてで緊張したが、優しく接してもらい、安心した。人の輪が広がり楽しさを実感できた。運動会を終え、経験したことのない達成感があった」
     会場の一体感や高揚感を生む作用があることを再認識できたという。
     事態の収束後にはオフィスワークに戻る企業が大半だろう。ただ、新しいスタイルの働き方や価値観が生まれるかもしれない。まるで振り子のように大きな社会変動には時代の揺り戻しがあり、さらに新たな発想や技術革新を突き動かす。どんな時代がやってくるだろうか。

  • 2020年5月14日号
    コロナに負けるな

    日銀の黒田東彦総裁は、4月27日にあった金融政策決定会合後の記者会見で「中央銀行ができることは何でもやる」と断言。社債とコマーシャルペーパーの購入枠を拡大するほか、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた企業や家計の資金繰り支援に向け、金融機関への資金供給を拡充する方針という。
     新設の持続化給付金や雇用調整助成金、無利子・無担保融資などの支援制度がいろいろとあるが、それがばらばらでは、実際に使えない制度に終わる懸念もあり、そうならないよう分かりやすく情報を整理して事業者に提供する機能が必要ではなかろうか。
     広島銀行グループは新型コロナで影響を受けている企業を支援する投資ファンドを6月中に組成する計画だ。取引先の事情をよく知り、事業者と直接向き合って相談に乗る立場の金融機関や経営コンサルタントの責任は重い。いまこそ本領を発揮して「倒産を出さない、雇用を守る」という最前線の防御ラインが崩壊しないよう、スピーディで強力な援軍が待たれる。
     ひろぎん経済研究所が県内企業約2000社(有効回答510社)に実施した「新型コロナ感染拡大の影響調査」の一部を抜粋すると、
     公的機関による支援施策のうち利用したいものは、▷資金繰り支援(貸付要件緩和、税納付期限延期など)が最も多く、▷雇用助成金などの特例措置(休業手当、学校休止による休暇の賃金助成など)、テレワーク導入支援など。通常業務で困っていることは、▷感染予防のための物資(マスク、消毒液など)の不足、商談などの営業活動の停滞、国内や海外への出張困難、従業員の出勤困難など。同調査は、政府が「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大する前の、4月13日までの回答到着分を集計したもので、その後事態は急速に悪化しており、引き続き6月にも同様の調査を予定。同研究所の水谷泰之理事長は、
    「企業にとって通常の資金調達が難しい状況ならば、政府が銀行借り入れに保証を付けたり、政府系金融機関を使った融資や、日銀による社債購入などの手段が講じられることになるが、大きな悩みは、新型コロナの影響がいつまで続くか見通しがない中、いつまでに返せるかが分からない点に尽きる。事業者は借り換えや期限延長などの可能性を念頭に置いて、金融機関との一層の信頼関係を強化しておくべきだろうし、金融機関は従来の貸し出しにとらわれることなく、永久劣後ローンや優先株といった手法の仕組みの活用を柔軟に検討していくべきだと思う」
     バブル崩壊後、苦境に立った日本企業は自己資本を充実させ、手元現金を積み上げてきた。これは、金融危機を経験した自己防衛のための企業行動の結果だが、一方で、これによって日本企業は積極的な投資を控え、成長のチャンスを逃してきたといわれる。
    「皮肉なことに、今回のパンデミックに直面して、手厚い現金は企業経営の安定性に大きく寄与している。成長と安定のバランスをめぐる議論は何とも難しい。しかし、現在の困難を克服する努力から、未来へのイノベーションが生まれると信じ、いまこそ知恵を絞り、踏ん張り、そのときに備えることが大事」

  • 2020年4月30日号
    AIがつなぐ匠の技

    時には失敗して悔しさをかみしめ、腕が上がると先輩に感謝しながらようよう身に付けた技能だから、決して途切れさせるわけにはいかない。
     ものづくりの現場には安全や品質、コストに直結する特有の技が凝縮されており、みじんも油断を許さない。現場の誇りがあり、企業の財産ともいえる熟達者がいる。そのワザ、カン、コツをどうやって継承していくのか。
     AI(人工知能)を活用して熟達者の知見や技能を読み解き、見える化を図り、先輩から後輩へ、次代へ継承する取り組みが県内の製造業でも始まった。自動車部品製造の広島アルミニウム工業(西区横川町)は、AIやIoT(もののインターネット)の実証プロジェクトを推進する広島県主催の「技能継承のためのAIワークショップ」に、産業用機器や大型機械のメーカーなど4社と参加。不良対策技術や専門知識などベテランの知見を〝辞書〟として活用できるポータルサイト構築の取り組みをスタートさせた。見て、覚え、実際にやってみるという方法を今日まで踏襲し、技能を伝承してきたが、この数年来、「このままではいけない。技能を記録として残そう」という危機感が生まれていたという。熟達者が経験のない若手に、自らつかんだコツを平易な言葉で分かってもらおうとしても、なかなか伝わらないという現実が度重なっていた。過去の実績をまとめた資料はなく、古い文献を読み解くにも限界がある。全国で同社含め2社しか手掛けていない「砂型鋳造」に十数年携わる生産技術担当の福田淳二さんは、
    「私は先輩から砂を使った鋳造技術のコツ、いわゆる勘所を肌で感じながら習得する時間があった。いまは作業効率化や働き方改革の流れが加速する中、メーカーの要求事項に沿って規格対応もより厳しくなっており、少しでも不具合が発生すると大変なことになる。生産者人口の減少に拍車がかかり、経営の命綱でもあるコツを若手に伝えきれていない歯がゆさがあった」
     同社は近くスペシャリストの思考をAI化し、実務適用支援するLIGHTz(茨木県つくば市)と契約する運びだ。福田さんは県主催のワークショップに参加したことにより、自らのノウハウに気付き、技能継承の大切さを改めて認識できたという。
     1921年に創業。県内中心に9工場、ベトナムなど海外に7工場を展開する。国内は2000人強が働く。田島文治社長はスローガンに「事実に忠実 誠実な努力」と掲げる。鋳造課の沖誠課長は、
    「AIの活用によって安定的な良品の大量生産で生み出された時間を、どう有効に使うのか。これからはAIと共存しながら職人ならではの感覚や発想を発揮していくことが製造現場に求められるのではないでしょうか。何をなそうとするのか、その目的と志が大事だと思う」
     人の働きを機械が代行し、さらに生産効率を高めながら産業が発展してきた過程に、新たに登場したAIがどのような大役を果たすことになるだろうか。これからが本番。まさか、AIの活躍によって熟達者がいなくなってしまうことはないだろうが、AIと人の間に「誠実な努力」が重なり、互いに切磋琢磨(せっさたくま)する関係になるだろうか。

  • 2020年4月23日号
    こちらから出向く

    広島でも、稼ぎ時の週末に百貨店がシャッターを閉めたほか、繁華街の飲食、サービス業などが営業を自粛。工場は資材の入荷困難、販売不振などによる減産、生産休止にあえぐ。企業の資金繰りが悪化し、金融機関に融資申し込みが殺到しているという。
     新型コロナウイルスの感染拡大がいつ終息するのか。いま借りる方も、貸す方も先々が読めない。売り上げがばったり途絶え、運転資金は枯渇しているが、お金を借りても「いつ返済できるのか」という不安が募る。貸す方は「貸し倒れにならないか」というリスクがつきまとう。広島市信用組合(中区)の山本明弘理事長は、
    「経済危機、緊急事態などに備え、金融機関はいつでもリスクのとれる状態を整えておく責務があると思う。健全経営を維持し、平時から不良債権を徹底して処理する。そのすべては危機から取引先を守ることが一番の目的。倒産を出さない、雇用を守るというシンプルな政府方針を支えることが、われわれに与えられた最大の使命ではないでしょうか。信用組合は地域から逃げることができない。金融機関の本来業務である地域を守るという気概が求められており、つぶさに取引先、現場を訪れ、経営者に寄り添う。いまこそ、われわれが一丸となって本領を発揮しなくてはならない」
     3月に2000社以上、4月上旬には5000以上の取引先をリストアップし、理事長はむろん、役員や支店長、審査部、渉外を総動員して、こちらから出向くローラー作戦を展開。取引先は、追加融資や返済猶予を申し出ることによって信用を失うのではないかという心理も働く。半世紀以上、金融業務に携わってきただけに、こまやかな配慮も欠かさない。
    「バブル崩壊よりも、リーマンショックよりも、今回の新型コロナウイルス感染拡大による不況は急激で、深刻。だが、ためらい、ちゅうちょしている暇などない。こちらから取引先に出向くことによって経営者の困りごと、悩みごとを丁寧に聞き取り、当組合で的確に迅速に対応する機会をつくることが大切。雨降りに傘を差し出す。金融機関のあるべき姿の真価が問われることにもなる」
     全店を挙げ、金融支援に力を尽くすよう指示。職場に緊張感がみなぎる。すでにコロナ関連の融資は4月10日時点で保証協会のセーフティネット関連も含め、65億円を突破した。融資申し込みの多い業種は飲食業、建設業、製造業、自動車修理・販売業、観光関連、運送業など、ほぼ全業種に及んでいるという。
     リスクを恐れるな、と基本方針を示す。これで役員、審査部、渉外に携わる職員も含め、全員の判断、行動が素早くなる。取引先が困っているときにその対応を誤れば、組合への信頼や信用を失うことにもなりかねない。営業の最前線で汗を流していたときの経験に裏打ちされているのだろう。決して不況にかこつけてはならぬが、将来にわたって信頼を得るか、失うか、その瀬戸際に立っているという緊迫感があり、みじんも手を緩めない。
     一方で、激流におぼれることのないよう、いまを懸命に踏ん張ることが、企業経営者の腕の見せどころだろう。

  • 2020年4月16日号
    人間を鍛えるのは仕事

    4月1日、地場流通大手のイズミの創業者で名誉会長の山西義政さんが亡くなった。97歳。西日本の流通界を凌駕する大きな飛躍を成し遂げたその生涯は決して順風だけではなかったが、ワクワク感を持ってことに挑み、先の見えない日々に、何が何でも成し遂げてやるという信念と行動力に貫かれていた。面白き人生ではなかったろうか。
     本誌1981年1月10日号で、当時59歳だった山西社長を取り上げた記事に、
    「私は90までやるんだ」と豪語するだけあって毎日起床後と就寝前のヨガを欠かしたことがなく、人前でも体をエビのように曲げてみせる驚くべき体力年齢−と紹介しているが、まさに有言実行。90を過ぎても陣頭指揮を執った。
     その辺りについて、2014年に発刊した山西さんの著書「道なき時代に、道をつくる」(297ページ)に、
    『わたしは90歳を超えたいまでも床にぺったりと上半身がつく。こんなに体が柔らかいのは、60年も前に真向法という体操を始め、毎朝毎晩それを繰り返してきたおかげ、逆に、この体操を始めていなければ、いまのわたしの体はガチガチ。ここまで長生きしていなかったかもしれない』
     面白き人生を歩んだ、その日々に誰しもが容易にまねのできないほどの努力があったことをうかがわせる。
     著書に、仕事を通じて自らを磨く54の言葉をつづる。道に迷ったときなどに指針となる言葉も多くある。
     ▷感激しなくなったら、燃えなくなったら年寄りだ。変化を起こすことは、安定を覆すことである。不安を感じることもあるだろう。ただ、それを上回るワクワクするような気持ちに目を向けることが重要だ。若さとは、その気持ちのことである。
    「次の店舗ではこんなことしてやろう」などと、寝られなくなるくらいのワクワク感がいつも背中を押してくれた。いま思い出しても楽しかった。毎日がドキドキ、ワクワクの連続だった。
     変化を求めることは、今日の安定を捨てることであり、そこに不安は当然あるが、未来への期待感の方がもっと大きい。そこに目をむけられなくなったら、たとえ20代だって「年寄り」です。
     ▷厳しい環境をまるで「不運」のように嘆いていないだろうか。何とかしのごう、切り抜けようと画策するのは自分の原因から目をそむける弱者の発想だ。
     ▷自分のスタイルを貫き通すことも強さ。しかし、時には相手をしなやかに受け止め包容することも強さの一つ。変化はチャンスと心得よ。
     ▷新たなことをするばかりが革新ではない。同じことをやり続ける革新もある。凡事徹底。その力をあなどるなかれ。いずれ大きく花開く。
     ▷気迫あるもの、熱意あるもの。事を成す条件である。願いを叶える秘訣はシンプルだが、何が何でも成し遂げてやるという信念と行動力が大切だ。まるで野武士のようなむき出しで貪欲な意思。いまの若い人にも持ってほしい。
     ▷自分で自分を育てよ、他人は育ててくれない。上司も先輩もヒントを与えてくれるだけ−など。
     若い人へのメッセージだが「人間を一番鍛えるのは仕事」と確信し、わが道を歩いてきた言葉にぶれがない。

  • 2020年4月9日号
    そのときに備える

    いつ終息するのか、誰も答えられない。今年に入り、あっという間に企業経営を取り巻く人、物、金のありようがいっぺんした。3月ごろから地元の金融機関に融資申し込みが殺到しているという。これまでは借り手を探すのにひと苦労だったが、一晩明けると融資案件を山ほど抱え、大わらわ。若手行員には初めての出来事だけにこれから先、取引先の関係をどう築くか、その転機にもなりそうだ。
     工場の一時休止に踏み切ったマツダの取引先企業は、
    「原則、県外からの来訪者はお断り。いまは新型コロナウイルスの感染者を出さないという対策に集中している。社員の雇用を守るため、やむなく派遣社員やアルバイトの契約を解除。目先の急場をしのぐほかないが、いつか注文が戻ってくるまで怠りなく準備を整えている」
     あおりを受け、人材派遣会社では派遣先の開拓に汗を流す。つい先ごろまで多くの企業が人手不足できゅうきゅうとしていたのが、まるで嘘のようである。
     広島経済の現況や見通しについて、ひろぎん経済研究所の水谷泰之理事長は、
    「経済への懸念すべき事項やそのレベルは日々変化している。いまや世界の経済停滞が明らかになり、市場も大きく混乱。国内消費の減退も明らかで、多くの事業者の資金繰りに大きな支障が生じ、パート従業員などの生活基盤が揺らいでいる。
     県内経済に大きな影響力を持つマツダが、国内工場の生産一時休止に踏み切った。その経過は、1月に中国が新型コロナウイルス感染で大変な状況になりサプライチェーンに問題が発生するため部品供給に懸念が生じ、2月になると社員の感染防止対策に追われる状況になった。
     その頃国内ではインバウンド観光客の急減も加わり、国内消費の不振が現実味を帯びてきた。海外、特にアジア諸国への出張が事実上不可能になり、企業活動全般に大きな支障が及んだ。
     3月になると全世界的な自動車の販売不振といった未曾有の要因が重なった。同社にとって工場の一時休止は苦渋に満ちた判断だったのではなかろうか。
     現時点で世界経済にどれだけの影響があったのかさえも把握されていない。まして今後どのようなダメージを受けるのかを予測するのは困難。いつのときもそうだが、そのときに入手できる情報の限りで、ベストの意思決定をするしかない。これから先を見通すのは難しいが、これまでの経過や現状を冷静に見て合理的に判断することが大事ではないだろうか。やがては今回の事態の対応や危機管理意識などからテレワークの浸透やサプライチェーンの分散化などの、新たな経済発展につながる動きも出てくるに違いない。いまを踏ん張り、そのときに備えたい」(3月31日)
     新春号の本欄で、2020年の注目ポイントの一番に東京五輪、そして米国大統領選挙、第5世代移動通信システムを挙げ、穏やかな成長が続くという同研究所の経済予測を載せた。まさかである。東京五輪は1年延期になり、米国大統領選挙も混迷を深めている。わが国、わが社だけでは成り立たないという現実にぶつかり、世界はどのように対応していくだろうか。

  • 2020年4月2日号
    一歩を踏み出す勇気

    いよいよ第5世代移動通信システム(5G)商用化へ。その主要性能は超高速、超低遅延、多数同時接続という。例えば、自動運転の実用化、スマート工場、スマートシティーの実現に役立つと期待されている。総務省資料によると経済効果は46.8兆円。AIやIoT(もののインターネット)などでスマート化を進める大企業に比べてデジタル化に立ち遅れる中小企業にとっても、この大きな技術革新の波に無関心、無防備というわけにはいかない。
     いま、広島県でデジタル技術を活用し現場の課題を解決するとともに、さらに新たな付加価値を生み出そうという取り組みが進められている。湯﨑英彦知事が提唱し、2018年度から実証プロジェクト「ひろしまサンドボックス」をスタート。砂山を作ってはならす砂場と同じように、業種・業態間の垣根を超え、県内外の企業や大学などが参画し、試行錯誤ができるプロジェクトとして中小製造業などが導入しやすい、さまざまな事業に挑戦している。
     現在、コンソーシアムでデジタルソリューション(安佐南区)が代表者を務める生産管理の見える化や、アイグラン(中区)の保育現場の安全管理のスマート化、ピージーシステム(中区)の安全な船舶運航システムの構築など9つの事業が進行中。AIやIoTを既存の事業やものづくりの現場に、ピタリと具合よく導入するためのハードルは低くない。商工労働局イノベーション推進チームの金田典子担当課長は、
    「生産労働人口の減少が進む中、ITの力やデジタル化によるイノベーションが欠かせない。しかし中小企業が単独でデジタル技術を導入するのは困難がつきまとうが、ただ一歩を踏み出す勇気が大切。最終年度に入り、9つの事業のそれぞれの課題が見えてきた。試行錯誤した結果のつまずきを失敗とするか、成果とするか。判断次第で次の課題が見えてくる。失敗を新たな知見と捉え、オープンに共有することに意義がある。異業種間の化学反応を期待するとともに、そこで得たナレッジを活用する。参画メンバー自らの力で継続し共創できるようサポートし、挑戦しやすい環境づくりも考えたい」
     2月には、道路施設の維持管理等の課題解決へ行政提案型で募った、法面崩壊の予測など3テーマに8件を選定。AI技術などを駆使し、コンソーシアムで実証に挑む。また、デジタル技術などリソースを提供できる大手企業などがパートナーとなって後押しする実証プロジェクトは8テーマに41社が選定された。例えば、NTTドコモをパートナー企業に、新型コロナウイルス感染を防ぐため無観客とした、3月15日のカープ対ソフトバンクのオープン戦で5Gネットワークを介し、ライブ映像配信クラウドシステムによる臨場感あふれるリアルタイム動画視聴を実証。
     さらに、実証プロジェクトと並行してコンペ方式のAI人材開発プラットフォーム「ひろしまQuest」をスタートさせ、AI人材の集積にも乗り出した。
     これまでに鍛え上げてきた経営手腕に加え、時代を見抜く眼力と技術革新がそろえば鬼に金棒。一歩を踏み出した先に、大きなヒントが隠れているかもしれない。

  • 2020年3月26日号
    学生も経営者も真剣

    おかげさまで、4月で創立70年。約1年の準備期間を経て、1951年5月20日付で発刊した創刊号「廣島経済情報」(53年から現名称)の開設あいさつで、編集方針について、
    ▷出版以外一切、商売をしない。集めた情報を出版以外に流用しない。
    ▷自分の都合次第で利害得失を売り込むことはない。
    ▷主観を押しつけることもない。物足りなさがあると思うが、事実を事実として伝えていく。
     創業者の福間一郎の方針はその以降、先輩から後輩へ受け継いできた。95年4月15日号の通巻2000号の特集企画に、広島県の竹下虎之助前知事、中国新聞社の山本朗社長、広島高速交通の川原太郎社長、賀茂鶴の石井泰行社長らから寄せてもらった言葉を掲載。むろん、社交辞令もあろうが、
    「(広島経済レポート)発行日が楽しみでした。どうしてだろうと改めて考えてみると記事を書く人、編集する人が積極的に自分の意思を表に出さず、淡々と書き、編集し、判断は読者の意思を尊重する方針を貫いていることが、安心し信頼して読める所以(ゆえん)だなと気付きました」(川原太郎)
     創業来の編集方針を評価してくれており、一層の精進を肝に銘じた。
     決して変節したわけではないが、最近、主に広島の中小企業を対象に、当社の取材、編集経験を生かして、専門家の力も借りながら人材採用支援事業を始めた。出版以外一切、商売をしない方針は守り切れなかったが、地域や企業に少しでも役立つことができればという創業精神はこれからもぶれることはない。
     よく人、物、金、情報というが、これまでもこれからも企業にとって人材が一番。とりわけ中小は人材確保に苦戦し、大企業の後塵(こうじん)を拝してきた。しかし広島には優秀な中小企業が分厚く集積し、個性豊かなオンリーワン企業、魅力的な企業が数多く存在している。これを学生にどう伝えればよいのか。本誌のほか、2088社を収録した広島企業年鑑、42業界と主要企業がひと目でわかるひろしま業界地図の発行や、ウェブサイトひろしま企業図鑑の情報発信を通じて、少し気付くことがあった。編集企画で、学生が経営者に聞くインタビューコーナーは学生も経営者も真剣そのもの。学生が取材し記事を書く。この経験を就職活動に生かすことができないだろうか。どんな質問をすれば本質的なことや役立つ情報を引き出すことができるのか。どのように記事をまとめれば大切な事を伝えることができるのか。次第に学生の目つきが生き生きとしてきた。
     一方で、企業のつくった求人案内やパンフレットは、ともすれば自社PRを優先していると思われることがある。事実を事実として伝える第三者の立場で、経営者の志や企業情報のポイントなどを捉えた記事や動画を制作。これらの媒体制作を通じて企業の求人機会を広げ、学生の就活や進路選択に役立ててもらう。じかに触れる情報交流を通じて双方に思い違いのない求職、求人のマッチングの仕組みを構築。偏った情報を流し学生を迷いの道へ進ませてはならない。これが一番に大事。少しずつ求職、求人の輪を広げていきたい。