広島の経営者がおすすめするグルメやナイトライフのお店を紹介。
2012年にオープンした韓国料理の専門店。オーナーで来日16年目の朴云峰さんが本場の家庭料理を提供する。開店から1年間は鳴かず飛ばずの状況だったが、テレビ取材をきっかけに来店客が増え始め、現在は女性を中心にリピーターが多いという。18年には鷹野橋商店街に2号店をオープンした。
「牛骨を7時間ほどかけて煮込んだ手作りのスープが自慢です。隠し味としてスンドゥブチゲなどにも使っており、凝縮されたうま味を感じてもらいたい」
屈託のない笑顔で接客し、韓国のお薦めの観光地を紹介するなど自然体のコミュニケーションも欠かさない。
「定番のサムギョプサルやチヂミなどが人気です。4人以上から対応する税込5500円の2時間飲み放題付きコースは、皆さんのおなかがいっぱいになるまで料理を振る舞うようにしています。横川エリアに3店舗目を出すのが目標です」
昨年開業のホテルマイステイズ広島平和公園前14階に12月、オープンした。広島の中心街が一望でき、旧ホテルサンルートの伊料理店「ヴィアーレ」の時から花見シーズンは早くに予約が埋まるという。
東京都出身の嶋義昭料理長は食への興味から、19歳で伊シチリア島に渡った。地中海地方の料理を学び、帰国して20代は都内ホテルのレストランに勤め、30代で独立し、伊料理店を開業。再びホテル業界に戻りフレンチなどを学び、異動で初めて来広した。
「カキ以外にも魚介類が豊富にあり、そのおいしさに深く感動しました。素材の味を生かした味付けや地産地消の食文化など、シチリアで学んだことを生かしたい」
伊・仏料理を織り交ぜながら、広島の海の幸・山の幸に加え、柑橘類を使った〝瀬戸内料理〟を提供。現在は朝食営業のみで、ランチ・ディナーコースは新型コロナの状況を見ながら再開する。
「店内には、お客さまから見えるところに時計を置きません。特別な空間や時間を楽しんでほしいと、長年にわたる私のこだわりです」
南区大須賀で居酒屋3店を営むアトリが2021年10月に開いた会員制バー。既存客との接点強化や新たな客層開拓に向け、従業員の福利厚生用に保有する戸建ての1階を改装した。森大輔社長は、
「『完全プライベート空間の大人の遊び場』をコンセプトに、店内はレンガやタイル調の武骨な雰囲気のブルックリンスタイルに仕上げました。一軒家の外観をあえて残し、看板も設けていません。知る人ぞ知る隠れ家を目指します」
10数種類のカクテルを出す2時間3600円の飲み放題制で、別途費用で日本酒やジャパニーズウイスキー、海外のクラフトビールなどを原価に近い価格で提供。SNSインスタグラムのダイレクトメールによる予約制とする。安芸長束駅までの送迎が付く。
「有り難いことに週末は満席になるなど、紹介で顧客の輪が広がっています。コロナ禍や昨年11月の『エキニシ火災』で減った客足が戻るきっかけとなるよう、さまざまな縁を大事に愛される店づくりに一層まい進します」
2021年春、隠れ家バルをコンセプトに、内外装をダークカラーの木とアイアンを基調とした落ち着いた雰囲気にリニューアルした。上恵木山陽店主は、
「1人で目配りできる規模で酒と料理を出し、お客さんにゆっくり過ごしてもらえる店になった。改装後は会社帰りに1人で寄る方や女性の方が増えました」
市内ホテルの洋食部門などに勤務後、15年に開業。牛肉や牛タンの鉄板焼き、軟らかい芸北高原豚のステーキに加え、自家製の粗挽きソーセージ、チーズ入りのジャーマンポテトなど仕込みに手をかけた料理も出す。冬場はカキのアヒージョも人気があるという。
「趣味のキャンプ飯をアレンジして出すこともあり、お客さんと話すきっかけになります」
アルコールはハイボールやレモン酎ハイ、ワイン、ラガーに似たコクのあるチェコビールも扱う。締めには中華生めんで作る辛口ソースのお好み焼きを薦める。
2018年にオープンした広島で珍しいロシア料理の専門店。オーナーで来日17年目のジェーニャさんが母のジーナさんと二人三脚で店を切り盛りし、本場の家庭料理を提供する。ホフロマと呼ばれる花や木の実、鳥が描かれたロシア伝統の柄を多く採り入れた店内には、マトリョーシカなどのかわいらしい小物を多く置いている。
「ロシアでイベント時によく食べられるニシンとビーツのサラダや、酒と相性の良い豚バラの塩漬けなどが人気です」
サワークリームをつけて食べる日本の水ギョーザに似たペリメニやライ麦パンのボルシチ、ビーフストロガノフなど全て手作り。あえて日本人の好みに寄せずに本物の家庭料理の味を追求しており、家族連れや女性客の利用が多い。
「広島に居ながら海外の雰囲気を味わえます。日本人にとっては地理的に距離が近くても、まだまだ遠い存在のロシアの魅力を一人でも多くの人に知ってもらいたい」
広島、福岡で修行を積み、11月12日に京橋川沿いのビル1階にのれんを掲げた。自身のつながりや紹介で、1月末までは早々に予約で埋まった。松﨑崇店主は、
「瀬戸内の魚を中心に、ネタにひと手間加えて提供する江戸前の仕事で仕立てたい。お客さまと向き合い、毎日が勝負の連続です」
ネタは当然のこと、しゃりへのこだわりも強い。庄原産など信頼する特定の農家の米を仕入れ、季節やコメの状態次第で、洗い方、浸水時間、水量などを細かく調整。魚の味が最大限引き立つように仕上げる。うま味やコクが特徴の赤酢を使い、〝しゃり切り〟を客前で披露。舌で味わう前に、炊き立てのコメと酢の香りから楽しんでもらう。メニューは1万1000円からのおまかせコースだけ。5㍍を超える奈良の吉野ヒノキの一枚板を配したカウンター9席。ゆったりと過ごしてもらえる空間づくりに注力する。
「愚直に、誠実に、まじめに。最後の細かいところまで手を抜かず、誰にでもできることを誰にもまねできないレベルまで高めるために日々精進していく。最高のおもてなしでお迎えしたい」
ヒロコシグループのクラブで、広島有数の社交場として開店から約42年間変わらず、華やかで上質な空間を提供し続ける。中川美優ママは、
「コロナ禍で女の子たちの不安は大きかったけれど、応援してくださる多くのお客さまのおかげで新年も頑張ろうという元気が湧いてきます」
2020 年は自粛要請で周年を祝えなかった代わりに、21年10月に41周年感謝祭を開催。多くの常連が訪れ、支えられていることを実感した。マメな性格で周囲をよく気にかけ、屈託のない美優ママは毎日、出勤前の約2時間のジム通いで頭を切り換える。合間を縫ってゴルフや釣り、グルメツアーなどで適度にリフレッシュし、気疲れなどを持ち越さない。
「私のモットーは『大切にすれば大切にされる』です。今年も皆さまとの一つ一つの出会いを楽しみにしています」
島根県邑南町の蕎麦店「瑞穂ふくのや」を経営する(合同)ふくのやが8月に開店した。日本蕎麦保存会の「おいしいそば産地大賞」で第4位に選ばれた島根県のそば「三瓶在来」など、中国山地の在来種をブレンドし自家製粉・製麺して提供。伊藤雅規代表は、
「三瓶在来は香りと粘り強さが特徴。そこに味とコクやモチモチ感のあるそばを混ぜ合わせてさらに味わい深いおそばを打っています。しょうゆやワサビ、米なども島根県産を主に使うなど、産地にこだわっています」
大田市の有名店「手打ちそば千蓼庵」で修業し独立。邑南町をそばの町とし、にぎわいの創出を目指す「邑南そば街道推進協議会」の発足にも奮闘した。
「11月からサラリーマン向けにミニそばとんかつ定食(800円)など、丼物や定食も始めました。『蕎麦前』をつまみに1杯やって、シメにそばを食べるといった蕎麦屋でお酒を飲む風習を広島でも根付かせたい」
広島経済大学を卒業後、関西のホテルなどで計12年経験を積んだ岡原友祐代表が2018年、可部駅東口前に開いた日本酒バル。客の好みに応じておすすめの3種を出す「呑みくらべセット」(1000円)や日替わりの料理盛り合わせ(3種1000円〜)などが人気を集める。
「全国の酒蔵に足を運んで仕入れる豊富なラインアップが自慢で、初めての味に出会えると好評です。希少な25年物の熟成酒や日本酒カクテルなども用意。お酒で〝遊ぶ〟ぜいたくな時間を提供したい」
祖父が安芸高田市で猟や漁、稲作を営み、幼いころにおいしいものをたくさん食べたことで食に興味を持ったという。自身が収穫した山菜のほか川魚、イノシシなどの地元食材も活用する。
「可部の経営者が集まり、イベント実施などを通して地域振興を目指す『噂通りの会』のメンバーとしても活動。街全体を盛り上げ、出店事業者が増えればうれしい」
グランドプリンスホテル広島22階で洋食を提供している。9月の第31回プリンスホテル料理コンクールで、大城美咲さんが西洋料理部門で優勝。広島の同ホテル開業以来2人目の受賞となった。大城さんは広島酔心調理製菓専門学校を卒業し、2014年に入社。2度の産休を経て職場復帰し、コンクールに挑戦した。
「料理人を志した動機の一つに、世界には飢えに苦しむ国があるにもかかわらず、日本のフードロスが多いことへの疑問がありました」
SDGs、地産地消、健康をテーマに、〝廣島赤鶏のガランティーヌ大長みかんソース 広島山海の幸と共に〜1日分の野菜プレート〜〟を考案。地元食材をまるごと使い、栄養面を考えた構成にした。例えば、キッシュには観音ねぎの青い部分と白い部分をそれぞれの調理法で、パセリの茎やセロリの葉も肉の下味付けにするなど、食材を余すことなく使用した。ほうれん草は、茹でるよりもバターで炒めたものをキッシュに混ぜることで、栄養の吸収率を高めた。同メニューは12月26日まで土休日ランチ限定で販売する。
「今回の優勝で後輩の女性料理人にキャリアをあきらめない大切さを伝えたい」
広島で珍しいしゃぶしゃぶメインの牛タン専門店。高たんぱく低カロリーな牛タンの余分な脂を落とし、ボリュームがあるのにヘルシーに食べられる。肉は臭みの少ないアメリカ産で、ミリ単位で厚さにこだわる。長野淳一オーナーは、
「女性を中心に、幅広い年齢のお客さんが来店する。全席個室で換気も万全と、徹底したコロナ対策で安心して飲食を楽しめる空間を提供する」
基本メニューは前菜、厚切り牛タン炙あぶり、しゃぶしゃぶ、デザートなどで6000円。飲み放題に加え、牛タンの炙り刺しやローストビーフなどを加えたプランも用意。飲み放題は地元の日本酒やクラフトビールなど約20種類を取り扱う。忘年会や歓送迎会には全個室を開放して対応し、ケーキや花束も別途有料で用意する。前日までの予約が必要。
「8月に徒歩5分の場所に牛タンラーメンの衝青天を開いた。これからの季節、タンしゃぶ亭で忘年会をした後にシメのラーメンまでセットで楽しんでほしい」
地場の大手クラブに勤めた佐々木寿代表と久保弘孝副代表が独立し、11月1日にオープンした。カウンターとボックスの計30席のラウンジ。佐々木代表は、
「オープンに際して同業や飲食店の皆さんから、想定以上の数のお祝いを頂きました。コロナ禍の開業に不安はありますが、初日から多くのお客さまに足を運んでいただき、ありがたい」
店名は、店に関わる全ての人と助け合いながら、自分たちらしく歩んでいこうと名付けた。
「女性が楽しくないと、お客さまにも楽しんでいただけません。彼女たちの働く環境をしっかりと整える一方、表情や細かい所作、立ち振る舞いなどの指導・教育に力を入れます」
コロナ前には到底及ばないが、流川・薬研堀地区の人出は戻りつつある。久保副代表は、
「お客さまの笑顔を見ると、私たちも元気が出ます。来て良かった、また来たいと言っていただける店を目指します」