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中電グループで発電設備の建設・メンテナンスなどを手掛ける中電プラント(南区出汐2-3-18、山田恭平社長)は2月1日付で、社長直轄の専任組織「DX推進プロジェクト」を設置した。デジタル技術による業務変革を推進していくとともに、〝お固い〟企業イメージから脱却し、新しい発想や価値が生まれるCX(企業の根本からの変革)を図る。
1953年創業で70年超の業歴があるが、これまで社外への情報発信が十分ではなかった。100年企業を見据えて社員の意識改革やリスキリングも進め、過去の慣習や既存業務にとらわれないさまざまな変化を受け入れる多様性、柔軟性を持った組織化を進める。同プロジェクトは4人体制で、最高デジタル責任者(CDO)に荒巻忠伸取締役が就いた。第1弾として、アイフォーンの業務利用を本格開始。工事写真管理ソフトを使い、スマホで撮影した画像を素早く分類、整理するほか、メールシステムを変更してスマホから確認できるようにした。今後はセキュリティーを強化する一方、チャット機能、基幹システムの改修を進め、スマートデバイスを利用して業務の効率化がさらに進む仕組みづくりを目指す。
JA広島果実連の会長が2023年10月、19年ぶりに交代した。牧本祐一新会長に、今後のレモンの生産販売、他の県産果実の振興策、県産果実の生産の課題などを聞いた。
ー就任の抱負をお聞きします。
少子高齢化で果実の生産者が減少していますが、営農指導、販売企画・販路拡大を強化し、生産者所得を上げ、持続可能な農業に貢献したい。
JAひろしまに6人(呉2人、芸南1人、三原3人)、JA福山市2人、JA尾道市3人、JA広島ゆたか2人と計13人の駐在専門員がおり、各JAの営農販売部長・課長たちと振興品目の選定のほか、防除などの営農指導、荒廃地の集約などに取り組んでおり、期待の大きさを感じています。
ー本所が竹原市から移転しました。
2022年12月に東広島市河内町入野のJA全農広島営農技術センターがある場所に移転。総務企画部、業務部、販売部があり…
広島大学(越智光夫学長)は今夏、電気自動車(EV)のモーターとインバーターの電磁波に関するEMC試験を行うための高電圧対応電波暗室(EVチャンバー)を同大学デジタルものづくりイノベーション拠点(東広島市鏡山、3月末完成予定)に設置する。世界的にEV開発が進む中、マツダも2030年までに電動化技術の全車種搭載を掲げており、西日本で唯一の専用試験機関として部品メーカーの需要の高まりに対応する。
一部2階建て延べ2031平方㍍の1階に363平方㍍の試験用スペースを確保。EMC試験はガソリン車でも電装品や車載器で実施されているが、EVには従来の車にはない高電圧部品があり、走行条件を再現しながら実施できる特別な設備が必要になる。新施設では実際に400〜800ボルトでモーターやインバーターを動かしながら、電磁波の負荷を掛けることで、誤作動や国際基準を超える電磁波発生の有無を調べる。
日本の製造業が岐路に立たされている。中国などの台頭を受け、お家芸といわれた液晶ディスプレーや半導体、家電などの世界シェアが低下。政府は半導体分野に狙いを定め、国内生産の強化に巨額の補助を決めた。
広島の基幹産業「自動車業界」も世界的な環境規制の加速や電動化の荒波に巻き込まれる。全ての分野で人手不足を解消する省力化・自動化やDXへの対応を迫られており、メーカーだけでなく、部品などを供給する中小企業の変革が欠かせない。これまで日本のものづくりは基幹技術を磨き、時代に合わせて世界に名だたる製品を生み出してきた。いま再び、職人魂が問われている。
ロータリーエンジン(RE)を電動化に応用したマツダ、手焼きの卵焼きを工業化し国内トップクラスに成長したあじかん、ゴム草履作りからバレーボール製造で世界一となったミカサの3社の事例から読み解く。
吉野家ホールディングス(HD)グループでラーメン店経営のウィズリンクは今春、グループ初となる欧州フランチャイズ(FC)店を開く。2014年の海外初進出から10年。コロナ禍で出店停滞と退店があったものの、海外は6カ国、29店に拡大した。24年は、欧州進出を皮切りに出店を加速する。国内もコロナ前水準に回復するなど、堅調に推移。就任3年目を迎えた秋月大輔社長に国内外の出店戦略を聞いた。
ー吉野家グループ初の欧州進出英スコットランドに今春オープン
今春は英スコットランドのエディンバラ城近くに出店する。観光客が多い地域で、ラーメン一杯12 ポンド(2253円)で提供。初年度売上高2億4000万円を目指す。同店は、香港でアミューズメント施設を経営するオーナーとFC契約。2年間の同地域での独占出店契約を結んでおり、現地での出店を後押ししていく。吉野家グループにとって、欧州初進出となる。市場調査をしてグループの他業態の進出にも貢献したい。欧州地域ではドイツでも予定しており、エリア拡大に注力する。
このほか、フィリピンで4店を計画。現地のラーメン「ばり嗎」では1杯350ペソ(889円)で提供。現地の人にとっては日給に近い水準と高価なため、ばり嗎より手軽に食べられる廉価版ブランド「ぶちとん」を展開していく。各国では、現地の相場に合わせて価格を設定し、日本のラーメンを世界へ広めていきたい。
昨年12月25日付で創業者の父・静司氏(現会長)の後を引き継いだ。1987年の設立以来、社長交代は初めてとなる。東広島への本部機能移転に加え、リフォームや家具販売など周辺事業拡大をけん引。少子高齢化などで中長期的に住宅着工棟数が減る中、「創建ブランド」をいかに引き上げていくか。その戦略を聞いた。
ー現在の市況をどう捉えていますか。
ローコスト住宅メーカーや建て売り事業者の台頭で競争が激化する中、注文住宅ビルダーとしてのブランドイメージを一層強固にしていく。現在放映しているカープ選手を起用したテレビコマーシャルでは、「注文住宅の創建ホーム」という強いメッセージを発信している。オーダーメードで顧客一人一人の思いを形にする。この信条に変わりはない。
物価や光熱費の高騰などを受け、高気密・高断熱住宅への関心が高まっている。これらのニーズに対応した旗艦ブランド「GIAZO(ジアゾ)」シリーズを展開しているが、これまで以上の性能を備えた高スペック商品も今後は必要になるだろう。商品開発に全社を上げて取り組んでいく。
少子化や核家族化で注目が集まる平屋にも力を入れる。三原市にモデルハウスを構えるほか、広島支店を置く安佐南区にも近く建築予定だ。広い用地の確保が難しい広島市中心部向けの狭小3階建てなどのラインナップ拡充も進める。
ー広島県経済の現状と2024年の見通しをどうみますか。
新型コロナの5類移行で人流が増え、消費者の購買力も高くなっていると感じます。サービス業は飲食店のみならず百貨店など概ねいろいろな業態で持ち直してきており、経済は良い方向に進んでいる印象です。また、広島駅北口の再開発が一段落して南口の工事が進み、間もなく開業するサッカースタジアムはゲートパークなど周辺との相乗効果も期待されています。街の再開発の観点からも地域経済の活性化が期待できます。
金融情勢ではマイナス金利が解除される可能性があります。米国は利下げの観測があり、一般的に言うと、日米の金利差が縮まることで少し円高の方向にシフトすると考えられます。ただ、輸出企業は1ドル135〜140円程度を想定している企業が多く、輸出産業への影響は限定的ではないかと見ています。お取引先の経営者には人材確保を主目的にベースアップや定期昇給などの賃上げを考えている方が多く、温かみのある経済になる期待感があります。物価と賃金の好循環が社会に浸透していく1年になるよう期待しています。
スーパーのフジ(愛媛)は3月、子会社のフジ・リテイリング(同)とマックスバリュ西日本(南区)を合併し、新会社を広島市に設立する。店舗開発、システム、物流などのノウハウやリソースを共有することで生産性を高め、中四国・兵庫でドミナントを加速する方針だ。新会社を率いる山口氏に抱負を聞いた。
ー統合後の目標は。
「中四国・兵庫県の圧倒的なリージョナルリテーラー」を掲げている。店舗のあるエリアの多くの県でSMとしてトップシェアになり、商品も統一するため効率の良いサプライチェーンをつくれる。両社が別々に行う物流、プロセスセンターなども効率的に統合。シナジーを創出し、顧客支持を高める取り組みにつなげる。それをしっかり実行するための組織風土づくりが課題だ。
ー出店戦略は。
自社競合に当たるケースもあるだろうが、統廃合はあまり考えていない。出店については建築コストの高騰などもあり、慎重に進める。今春策定する次期中期経営計画で重点戦略に据えるのは既存店のリニューアル。ある程度意識的な投資で建て替えや改装を行っていく予定だ。
ー広島経済の現状と2024年の展望をお聞きします。
コロナ禍からの正常化に伴い、個人消費が持ち直すとともに、生産も主力の自動車産業が上向くなど県経済は緩やかに回復しています。本年もこの状況が続くのではないでしょうか。
県内企業の設備投資意欲が高いことも好材料です。日本銀行広島支店の2023年12月の企業短期経済観測調査によると、23年度の広島県の設備投資額は前年度比+26・0%と2桁の増加を計画。ひろぎんホールディングス経済産業調査部の23年10月調査でも県内企業264社の23年度設備投資計画額は前年度比+15・9%の増加を見込んでいます。
春闘での賃上げも景況のポイントになると思います。ひろぎんホールディングスの調査では、正社員の23年度の賃上げは「実施した」企業が7割超に上り、24年度も「実施する方向」が8割近くで、その約9割が「23年度と同程度以上」と回答しています。物価高の中で、物価と賃上げとの好循環が実現することを期待しています。
ー昨年のG7サミットを振り返って。
G7広島サミットは県内では前例のない大きな催しで、今後もこれほどの規模はないのではないか。県民の皆さまに交通規制やおもてなしなどを含めてご協力をいただいて成功したと思っており、お礼を申し上げたい。120点のできだったと思う。
サミットの過程で、首脳への食事の際には広島の県産品が数多く使われ、お酒など飲みものも提供された。メディアセンターではプロモーションもあり、広島の食や素晴らしいものが世界のメディアにアピールできた。メディアを通じた報道回数は一部の国だけで延べ9000億回になるという。そういった効果もあり、サミット後は観光客が大幅に増えている。その証拠に平和記念公園の資料館は大行列で、外国人の入館者数はコロナ前を上回り、割合は過去最高になっている。サミットに使われた県産品は、瞬く間に売り切れ、いまだに品薄なものもあり、経済的にも良い影響が出ている。
7月1日付で就任。西日本有数規模のバスターミナルを備える商業施設のかじ取りを担う。今春開業のひろしまゲートパーク(旧広島市民球場跡地イベント広場)や市中央公園に来年2月開業予定のサッカースタジアム、再来年以降の広島城三の丸整備など周辺開発が着々と進む中、そごう広島店の新館閉館に伴う売り場再編に併せてアクア広島センター街の4・5階を10月にリニューアルオープンした。相乗効果を狙い、紙屋町基町界隈全体のポテンシャルをいかに引き上げていくのか、その戦略などを聞いた。
-運営するアクア広島センター街1、2階をそごうへ賃貸。新館から生活雑貨ロフトを5階に導入しました。
アパレル主体のテナント構成だったが郊外大型SCやネット販売の台頭に押され、これにコロナ禍が響き売り上げが落ち込んだ。ロフトは従来売り場の約半分の1083平方㍍で、品ぞろえは6割強の約2万点だが、売れ筋を中心とし、予想以上の手応えだ。全国的にも知名度が高く、新館8階から3階バスターミナルに近いフロアに移り、買い回りの良さもプラスに働いているのではないか。
5階からは100円ショップ「セリア」、手芸用品専門店「ユザワヤ」を4階に移した。計画通りに推移しており、幅広い顧客層を対象とする生活雑貨に軸足を移したテナント構成でコロナ後のリニューアル効果を期待している。
昨年9 月にEV部品などを製造する岩瀬屋製作所(茨城県常陸太田市)の全株式を取得。呉の本社工場ではハイブリッド車向け部品の全自動4 製造ラインを稼働させたベンダ工業の八代一成社長に、M&Aの理由、EV・電動化への対応、新中期経営計画のポイント、カーボンニュートラルの取り組みなどを聞いた。
ー岩瀬屋製作所をM&Aした理由は。
ベンダ工業は中期計画で、2031年度に電動化商品、EV関連などの未来商品で売上比率50%を目指しています。岩瀬屋製作所は…